ささがきにしたごぼうと角切りのまぐろを、甘辛く炊き合わせた「きんぴらまぐろ」。全国的にはマイナーなお惣菜ですが、京都では定番のおばんざいです。一般家庭でも作られますが、京都屈指の老舗料亭「下鴨茶寮」の「きんぴらまぐろ」は、おもてなしの一品にもなる絶品。さすがは160年以上の歴史と伝統に彩られた匠の技です。

しゃきしゃきとしたごぼうとふっくらとしたまぐろが、お互いのよさを引き立て合って見事なハーモニーを奏でます。まぐろの旨味を吸ったごぼう、ごぼうの風味を纏ったまぐろ、どちらも主役級の美味しさです。飴色になるまでじっくりと炊き合わせているのに、ごぼうらしさ、まぐろらしさがみじんも損なわれていないのはさすがというほかありません。

京料理というと薄味と思われがちですが、おばんざいにはしっかりと味が付いているものも多いです。「きんぴらまぐろ」もその一つ。ご飯にもお酒にもよく合います。おにぎりの具や混ぜご飯にもおすすめ。子どもから年配の方まで誰にでも喜ばれる一品です。